男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
馬車に乗ってしばらく城内を走ると、景色の中にガラス張りの建物が見えてくる。

「ここが、国王陛下が言われていた温室ですか?」
窓を覗きながらサラはカイルに問いかける。

「ああ、中の温度を一年中一定に保っていて温かいんだ。バナナやパイナップルなんかの果物も育ててる。」

「素晴らしいですね。
ここから見える風景も綺麗…。宝石箱みたいにキラキラしてます。」
目を輝かせてカイルに振り返る。

「そうだな、明日にでも行ってみるか。」

「はい。是非行きたいです。」
ふわりと笑うサラが可愛いくて、カイルは出来ればここに閉じ込めて、誰にも見せたく無いなと思わず考えてしまう。

「サラ、他の男に話しかけられても無視しろよ。しつこい様なら婚約指輪を見せて威嚇しろ。」

「威嚇ってどうすれば?犬じゃないので…」
ふふふっとおかしくなってサラが笑う。
カイルもつられて笑う。

「とにかく、相手にするな。ダンスなんて誘われたら走って逃げろ。」
そんな事してもいいの?とサラは笑いが止まらなくなってしまう。

「ドレスで走る令嬢なんて…。」

「サラは意外と足が速いから逃げ切れるだろ。かくれんぼも得意じゃないか。」
2人は出会ってからのこれまでを思い出し、温かい気持ちになる。

「分かりました。もしも誰かに声をかけられたら、カイル様の所まで走って逃げますから。受け止めて下さいね。」

はははっと笑い合いながら束の間楽しい気分になり、緊張が解れていった。

気付けば、晩餐会が行われているホールに到着していた。

先に馬車を降りたカイルがサラに向かい、手を差し出す。
サラも頷いてカイルの手にそっと自分の手を重ねる。
ぎゅっと握りしめ外に出る。
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