怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました

「バカ、人がせっかく……」
「ごめんなさい。私……」
「謝らなくていい。俺だってこのまま抱き潰したいほど沙綾に触れたい」
「だ……っ」

ぎょっとした顔をする沙綾に思わず破顔する。

「今はキスだけで我慢する。その代わり、次は容赦しないから覚悟しておいてくれ」

こちらは必死に欲望を抑えているというのに、無意識に誘惑する小悪魔に噛みつくようなキスをした。

その官能的な口づけに“次”を想像したのか、耳まで真っ赤になった沙綾が両手で顔を隠しながら頷き、聞き取れないほど小さな声で「……待ってます」と言った。

からかってやろうとした発言に対し、健気で可愛すぎる妻の返り討ちを食らった拓海は、結局自身のほうがダメージを受け、大きなため息を吐きながら沙綾の肩口に顔を埋めたのだった。




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