怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました
「そうだな、話していいのなら話したいと思う。すぐには受け入れてもらえなくとも、少しずつ父親という存在を感じてもらえれば嬉しい」
「湊人がどう反応をするのかと思うと、ちょっと不安ですけどね」
「気長にいくさ。湊人がどんな反応をしようと、君は湊人の味方でいてあげてくれ」
拓海の言葉に、湊人に向ける深い愛情を感じられ、沙綾は嬉しくなって再び彼に身を寄せた。
「沙綾?」
「拓海さんのそういうところ、大好きです」
拓海自身よりも、沙綾や湊人を一番に考えた言動ができるところ。
よく拓海は“信頼”という言葉を使っていたけれど、その言葉通り、頼もしく信用に足る彼の人柄は、沙綾に安心感とときめきを与えてくれる。
「君は……本当に俺を煽るのが上手いな」
頭上で大きなため息を吐きながらも、拓海は沙綾の背中に腕を回して抱きしめる。その様子が愛おしくて、沙綾は微笑みながら彼の胸に甘えるように頬を寄せた。
翌日。日曜日の昼下がり、お昼寝まで時間があるうちにと、沙綾は湊人を呼んでソファに隣同士で座った。
「湊人にね、大事なお話があるの」
「なぁに?」