年下彼氏の結婚指導
「──……そうなんですか?」
「あは、そうなんですよ廉堂君。それで年下の、自分に自身の無かった元彼君はやがて一人前となり、新卒の可愛い女の子と結婚を決めたのですー」
 華子はケタケタと肩を揺すった。

(……確か今年が、その結婚式)
 
 今はもう遠くにある元彼の面差しに懐かささえ覚える。
 職場恋愛だった。
(若かったなあ……)

 新人だった頃の元彼は、頼りなく仕事も追いつかなかったが、努力家だった。そんなところに惹かれて付き合って……けれど、二年経てば仕事なんて慣れるし、自信も出てきたのだろう。
 そんな頃に新人の可愛い子に頼られて、男としてクラリときてしまっても仕方ない。

 同じ会社でテキパキ働く華子をかっこいいと言ってくれた人だったけど。若かった時は憧れた年上女性も、次第に鼻につくようになってしまったようだった。
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