年下彼氏の結婚指導
「わあ、素敵なお店ねえ」
(うん、高そうだね。上司をお財布だとでも思っているのかな)

 チャッカリもしているらしい。
 ……ご愛嬌というヤツかもしれないけれど。
 翔悟が連れてきてくれたのは雰囲気のいいショットバーだ。会社の最寄駅から二駅。遠くもないけど、僅かばり不思議ではある。
(どうやって知ったのかな?)
 なんて疑問と同時に結芽の顔が頭に浮かんだ。
 せっせと翔悟の世話を焼いている結芽である。雰囲気のいいお店を教えたり、一緒に行ったりしていたのかもしれない。
(本当、私はそういうの無くなっちゃったなあ)

 少しだけ寂しい気分になったところで。ここは気分転換できるいい機会だと思う事にする。

 けれど。
 雰囲気の良いお店は料理まで美味しくて、ついつい進むお酒に話も弾んでしまった。
 各部に散らばる同期以外、気安く話せない職場環境。
 そう仕立てたのは自分とは言え、自分は思いのほか寂しかったのかも知れない。
 翔悟が聞き上手で、喋り過ぎてしまったのもある。だから気が付けば、余計な事まで話していた。
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