年下彼氏の結婚指導
「廉堂君、今日まで一ヶ月間、お疲れ様でした」
 華子の言葉にパチパチと拍手が続く。
「初めての指導で加減が分からない私でしたが、熱心な廉堂君の姿勢に煽られ、かなり厳しかったんじゃないかと思います」
 照れ臭さが滲む華子の言葉を、翔悟はじっと見つめて聞いている。こんなところでも彼の生真面目さに胸を打たれ、華子の気持ちがじわりと滲んだ。
「……でもついて来てくれてありがとう」
 込み上げるものを瞬きで散らし、華子は必死に笑顔を作った。

「一生懸命な廉堂君に引き摺られるように、私も沢山の学びがありました。良い機会を与えてくれて本当にありがとう。最初の教育担当が廉堂君で良かった。これから配属される部でも活躍を期待しています」
 そう締め括ると、翔悟は少し寂しそうに眉を下げた。
「……それで、その」
 ごくりと唾を飲み込んで、華子はびくびくと翔悟を見上げた。
「また、があると嬉しい」
 やっとそう口にする。
「お、お互いの……成長の為に……」
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