年下彼氏の結婚指導
14.
「──ねえ、翔悟君?」
 その声に華子はギクリと身体を強張らせた。
 けれど恐る恐る振り返れば、結芽が彩り鮮やかな花束を抱え笑顔で立っていた。
「へっ?」
 今度は何だ。
 華子は混乱の極みにいた。

「ありがとう観月さん」
 同じように笑顔でそれを受け取った翔悟が、その場で華子の前で跪いた。
「華子さん、ずっとあなたが好きでした。俺と結婚して下さい」
 結芽と翔悟を交互に見ていた華子は翔悟の台詞に息を呑んだ。
 そしてポカンと口を開ける。
 一体何が起こっているのか。
 夢だろうか。彼との関係なんて、駄目だし無理だと思っていたのに……あれ、そうだよね。一体どうして。今何が起こっているのだろう。

 そんか疑問は結芽の隣に寄り添う男性に霧散した。
(あ、あれって……確か去年の新卒の人気No.1で受付の子と付き合ってたって言う……?)
 どういう事だ。いつの間に?
 混乱する華子に結芽が婚約者となった彼氏に抱つきき、ニヤリと笑みを浮かべた。
(……! は、図られた!)
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