白虎の愛に溺れ死に。
それなのに、彼からは絶対に動かない。あくまでも…彼は、自分の意思ではなく、私の意志で動き、そして、自分のしたいことではなく…私を喜ばせることに徹するのだ。
少しだけ楽になった体が次の刺激を求め始めた頃、私は体を起こし、彼の黒いスーツの裾をクイッと引いて懇願するように縋る。
「…匡…、匡…欲しい。」
「…家まで待てませんか?伊達が運転席で聞いてますよ?お嬢の卑猥なお声を。」
「…っ、」
焦らすように顎の下を指先でなぞり、妖艶に口角を持ち上げる綺麗な顔。
卑猥…だなんて、私だけのせいにしないでほしい。
私は悪くない。悪いのは私を誘惑するあんたの方だ。
外国の血の混じった青い瞳はいつもいつも私を酔わし、狂わし、理性なんて何もかもを奪う。
だから私は、恥じらいという代償を払ってでも、彼からの熱を求めてしまうのだ。
「やぁ…待てない。家まで、待てない!」
「…」
「匡、いいから…ねぇ、」
「……」
甘い声色でねだれば、匡は昔から断れないことを知っている。
「本当に…我慢のできない人だ…」と呆れたように私から目を逸らした彼は、カチャカチャとベルトを外しながら私をシートに組み敷いた。
中途半端にはだけていた私の洋服を丁寧に脱がせながら、運転席の方に顔を向けた匡。
「伊達…、安全運転でな。」と運転手の伊達に向かって声をかければ、返ってきたのは「は、っはい…!」という上擦った声で。
せっかく指示に対する返事が返ってきたというのに、なぜか匡はグッと眉間に皺を寄せて、運転席を思い切り蹴飛ばした。