磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「真海、ごめん。」

「うるさい!入ってこないで!」

「俺、嬉しいよ。ありがとう。」

「今さら・・・!?」

ドアの隙間から見える悠馬の瞳は光っていた。

「体、無理すんなよ。俺、出来るだけのことはするつもりだけど、足りなかったら遠慮なく言ってくれ。」

「も、もう寝たいからあっち行って!」

「おお。ゆっくり休めよ。また後で話そう。」

───いくらなんでも一方的に言い過ぎちゃったな・・・なんかイライラするんだよね。不安定というか。

自己嫌悪に陥りながら目を閉じるが眠れない。悠馬のことが気になり部屋から出ると彼はベランダでノートパソコンをいじりながらぶつぶつ言っている。

「『(むらさき)』一文字で『(ゆかり)』もいいな、『紫咲(しえ)』も古風でいいし『紫歩梨(しほり)』もかわいい。『紫音(しおん)』とか『紫月(しづき)』なら男女どちらでもいけるか。『紫信(しのぶ)』は音だけなら男でも女でもいいけど、漢字だけ見たら男だよな・・・あと画数とかも見なきゃな。」

「何見てんの?」

「うわぁ!」

真海が声をかけると悠馬は驚いて飛び上がった。
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