磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
*計画的なキス*
真海(まなみ)悠馬(ゆうま)が付き合い始めて二週間が経とうとしていた。

今日はガヤガヤとして活気のある大衆居酒屋に来ていた。広い座敷にちゃぶ台が並んでいる。

「こういうお店って、安さと量重視だと思ってたけど、何気に美味しいんだね。」

真海はやみつきキャベツをバリバリと食べながら言う。

「だろ?でも、こないだ行ったお前が好きな店も、量が少ないのに高いだけの店かと思ってたら美味かったな。」

「でしょ?なんか、あんたといると色々、幅広がるっていうか・・・。」

真海が照れつつ言うと悠馬も同じような表情になる。

「俺も・・・そう思ってた。」

そう言いながら悠馬はちゃぶ台の下で真海に見せようと準備してきたものを握りしめた。

「次はジュースにしとこ。」

真海はカシスオレンジを飲み干すと、ドリンクメニューに手を伸ばす。

「お前って顔に似合わず酒弱いよな・・・。」

───すぐ赤くなるのは前から知ってたけど、最近酔うといつもより素直になるのがかわいい。

「顔に似合わずって何よ。そっちこそ、それ、ウーロンハイじゃなくてウーロン茶でしょ・・・てゆーかなんかあんた今日そわそわしてない?」

「いや、あのさ・・・お前が嫌じゃなかったら、なんだけど・・・。」
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