磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「・・・行く。」

「・・・え?」

「・・・行きたい・・・な。」

「よかった~!」

悠馬はホッと胸を撫で下ろす。

「・・・声、デカイって・・・。」

───まったく・・・何、その弾けんばかりの笑顔。なんだか胸の奥がくすぐったい。こいつといるとずっとそうなんだけど。

「・・・で、でで、お前、どっちがいい?」

悠馬は頬を染めて情報誌に目を落とす。

「ん?何が?」

「だだだだから・・・・・。」

先程の大声とはうってかわって消え入りそうな声でぼそぼそと何かをつぶやいた。

「え?周りガヤガヤしてるし聞こえないよ?」

「だから・・・ベ・・・ベッド・・・、ツインか・・・ダブルか・・・。」

激しく動揺した様子で言う。

「はああ!?そっそんなの好きな方にすれば!?」

「いやいや、そんなこと言われたら困るだろ!?」

「私だってそんなこと聞かれたら困るよ!?」

「だってよ・・・こういうのはさ・・・。」

「・・・す、好きにしていいよ。文句言わないから。」

「本当にいいんだな?予約しちゃうからな?」

「う、うん・・・。」

───なんで私もこいつもいい歳してこんな動揺してるんだろ・・・でも、この感じ、全然嫌じゃない・・・むしろ・・・。

真海はドリンクを注文するのも忘れて悠馬への想いに浸っていた。
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