磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
振り向くと日野が起き上がっていた。シングルルームを二人で使うカップルプランを利用していて、部屋のほとんどはセミダブルベッドが占めていた。

「お、おう、大丈夫か?水買っといたから飲んだら?」

彼女は『ありがとうございます。』と礼を言い近くに置かれていたペットボトルを口にした。

「本当にすみませんでした!今日、イブなのに。北岡さん、お約束とかあったんじゃないですか!?」

「い、いや・・・特に・・・。」

───あるって言ったら罪悪感感じちゃうだろうしな。

「よかった・・・私は実はあったんです。」

「えっ!大丈夫か!?連絡・・・。」

「もうなくなったので大丈夫です。」

日野は憂いを含んだ微笑みを見せてから続ける。

「昨日、彼氏に別れようって言われたんです。」

「!?」

「私は彼が所属するバスケ部のマネージャーでした。17歳のクリスマスイブに付き合い始めて、10年後、27歳のクリスマスイブに結婚しようねって話してたんです。それが今日でした。」

「そんな・・・。」

悠馬がやっと出した声は掠れていた。
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