磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
悠馬は通話が切れたスマホを呆然と見つめていた。

───遅れて悪いけど行くからって言いたかったんだけどな・・・メッセージ送っとこう。

今夜は真海の一人暮らしの家でまったりとイブを過ごす予定で、彼女は手料理を作ると何日も前からはりきっていた。喧嘩の仲直りも出来ると思っていた。

───それにしてもなぁ・・・遅くなればなるほど道混みそうだよな・・・。

窓の向こうには国道が見えていて、車のヘッドライトがクリスマスツリーを彩るライトのように一列にその道を飾っている。

───真海、電話ではああ言ってたけど怒ってるだろうな、ただでさえ喧嘩中なのに・・・会ってくれなかったらどうしよう。

外出には持ってきていなかったが、会社のロッカーに真海へのプレゼントがあった。毎年大人気のクリスマス限定アクセサリーをプレゼントとして選びかなり気合いを入れて挑み見事ゲット出来たのだった。

───あのネックレス、真海似合うだろうな・・・指輪と迷ったけど・・・なんか照れ臭かったんだよな。アクセサリー買うなんて初めてだしよ。そもそもサイズがわかんねえし。サイズ聞いた時点で指輪買うってばれるじゃねえか。

プレゼントを身に着けた彼女の姿を想像しぼうっとしていると『北岡さん。』と背中から声をかけられた。
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