磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「すみません・・・おかしいな、悲しくないはずなのにどうして涙が出るんだろ。」

「心がバリアはってんのかもな。あまりにも悲しみが大きくて心が壊れちまうから悲しみを感じないように。でも体はそう上手くいかねえのかもな。昨日眠れなかったんだろ?」

「はい、食事もとれなくて、そのせいで酔ってしまってご迷惑おかけして本当に申し訳ないです!社会人失格です!」

日野は深く頭を下げた。

「いや、そんなことねえから・・・日野さんは車から降りて休めば大丈夫って言ったのに、外寒いし大事をとってここに連れてきたの俺だし。」

「ありがとうございます・・・。」

日野はしばらく泣いてから鼻をかむと使用したティッシュをまとめベッドから出てゴミ箱に捨てた。

「すぐは無理ですけどこうやって少しずつ泣いて、心の中のものを出していっていつか前を向けたらいいなと思います。」

真っ赤な目と鼻で日野は笑った。痛々しい笑顔だった。

「おお、日野さんならきっと出来るよ。」

悠馬の言葉に日野は一瞬顔を歪めた。止まったはずの涙がせり上がってきそうになったのだ。

「・・・北岡さん、厚かましいのは承知でお願いがあります。」

「なんだ?」

「よかったら今夜一緒に過ごしてもらえませんか?」
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