磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「ちょっと!狭いでしょ!このデカゴリラ!」

悠馬は真海の言葉には構わず彼女を抱き寄せた。

「来年はちゃんとするから。そうだ二人で有休とろうぜ。」

「来年・・・?」

「来年も再来年もそうしよう。おい!どうした!?」

「来年も一緒にいてくれるんだ・・・。」

真海は指で涙を拭っていた。

「当たり前だろ!・・・俺はいたいよ。」

「本当に私でいいの?日野さんみたいな子じゃなくて。」

「なんでそんなこと言うんだよ!好きだから付き合ってるんだろ。」

「でも喧嘩ばっかりだし・・・。」

「こんなに喧嘩ばっかりなのにこんなに好きでいられるのはお前だからだと思う。」

「悠馬・・・。」

「俺は恋愛慣れしてなくてよ、女心もお前の気持ちも今はちゃんとわかんねえけどわかりたいって思ってる。わかるようになれるように努力するけど、出来ればもう少し気持ちを言葉にしてくれたら嬉しい。何が嬉しくて何が嫌でどうしたいか。言葉なしで感情だけじゃ、なんで怒ってるのかとかわかってやれねえから。」

「うん・・・。」

「『隣にいる』ってのはさ、ただこんな風に物理的に近くにいて同じ時間を過ごすってだけでなくて、気持ちが寄り添ってこそなんだよな。気持ちがそばにあるから安心するし辛くなったら寄りかかれる。俺はお前とそういう関係でいたい。それにはお互いに心の表面のトゲトゲみたいなのなんとかしないとな。」

悠馬の言葉に真海は彼の広い胸にぎゅっと抱きついた。

「じゃあ、言うね。」

「お、おう。」

自分から言ったことだが、何を言われるのだろうかと構えてしまう。
< 93 / 118 >

この作品をシェア

pagetop