MINE.

その言葉に、顔に熱が集まる。

「もういいその話は」
「よくないです」
「はいはい、わたしはどうせ聞き分けの悪いお嬢さんです。だから、もういいでしょ」

膝を掴む手に触れる。離して、の合図のはずだった。

ぐるん、と視界が反転。
車の、灰色の天井が見えた。

すぐさま叩き込まれた護身術を使って起き上がろうとするけれど、松田の方が一歩上手だった。

「ちょっと松田……」
「絹さんにそれ教えたの誰だと思ってるんですか」
「話し合いがしたいんじゃないの? この状況で話し合いが出来ると思ってるなら怒るわよ」

否、もう怒っている。

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