MINE.

泣きそうだが、泣いていない。

松田もついこの前まではこれくらいの子供だった。未だ成人前で、煙草も酒も公衆の面前では出来ない。

素子の手から離し、絹を抱き上げた。

小さく震えていた。

松田には、素子の気持ちも絹の気持ちも想像がつかなかった。ただ、自分が生きていく為だけにやるべきことをやる。

「松田、野良犬みたいなあんたを拾って貰ったのを覚えておきなさい!」

母屋の縁側から外へ出る。室内履きのスリッパだったが、致し方ない。
後ろで次は標的を松田に変えた素子が怒鳴っていた。

苦笑いを奥底に隠し、離れへと歩く。

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