MINE.
「松田は野良犬じゃない!!」
突然、抱き上げていた絹がそれに怒鳴り返したので、驚き立ち止まる。ちら、と振り返るが、その言葉は届いたのか届かなかったのか、素子は先程と変わらず暴れていた。
ふ、と失笑する。
「……確かに、犬じゃねえな」
「松田はわたしのだもの……」
絹は松田の首にしがみつき、呟く。
「はい。俺はずっと、絹さんのです」
背中を抱き寄せる。十も離れたこの娘が、ただ一人、自分を必要としてくれる。
「陽乃さんに何か用事でしたか?」
「……なんでもない」
本当は目が覚め、松田も居らず寂しくなって陽乃を探していただけだ。
「そうですか。じゃあ戻って温かい牛乳でも飲みましょう」
うん、と頷く声が濡れている。
とんとん、とその背中を優しく叩いた。
MINE.
終わり。