だいすきボーイフレンド
なんでこの人はまた表情も崩さずそんなん言えんのやろ。

私はなるべく冷静に考えようとしたけど、答えが出てこなくて、ダメなことは分かってるけど、でも自分の気持ちが分からなくて、一瞬で今まで生きてきた分くらいに頭を掻き回した。

「おう、何しとん」

静かになった私たちの空間に、聞き覚えのある声が届く。

駅の方を見ると、晴人が私たちを見て立っていた。

「おう、ヘッドセット置いてきた」
「ありがとう」

翔平が晴人の方へと向かう。

「もし晴人帰ってきたら、俺ん家来ない?って誘ってた」

翔平の明るい笑い声が響く。

「今から?」
「今から。俺今日休みで暇やってんかあ、人間が恋しいんよ」
「ゲーム何ある?」
「あれあんで」

サクッと二人の世界ができる。
さすが切り替えが早いな。

「なあ、涼香、俺今から翔平ん家行くけど、涼香も来る?」

晴人が聞いてきた。
あほか、先に私が誘われてん。

「明日仕事だから行かなーい」

私はそう断ると、晴人が「ノリ悪いな」と言ってきた。

どうせ二人でゲームするだけやろ、そんなん暇に決まってる。

私は駅で二人と別れ、来た道を戻る。
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