だいすきボーイフレンド

底尽きるカフェオレ

大学4年の夏、ゼミの終わりに偶然キャンパスで晴人と会ったことがあった。

晴人はその時、早々と大手ベンチャーに内定を決めてあとは卒論のみという状況だったし、一方私は就活も卒論も宙ぶらりんな状況だった。

「おう、何しとん」

晴人は基本的に挨拶はいつもこれだ。

「ゼミや」
「お疲れ様やな」
「そっちはなんでここいんの」
「就職課に報告書出してきてん」

私は鼻で笑うように「就職課」と呟いた。

明日、1件面接が入ってる。明日のそこがダメなら、また振り出しからになる。

たらたらと近くのカフェに向かいながら話す。

「もう就活ダメかもしれん」
「なんで」
「お祈りしかされんもん」
「みんなそうやで」

そう言いながらも、大手にちゃっかり内定決めたのはどこのどいつや。

東京も東京で暑くて、初めて来た年の夏は萎えた。夏って結局どこも暑い。
だけど今日はまだ風があるから、ぬるいなりにカラッとはしてる。

「晴人はちゃっかり内定とってんやん、しかも大手」
「大手ちゃうよ」
「大手やん、みんな知ってんもん」
「いや、言うても子会社やで、大したことないって」

晴人って案外要領よく人生のコマ進めるタイプだ。
気付いたらサクサクと決めてたりする。

だから、高3の時は本当に第一志望に合格すると私は思ってた。頭いいし。

「決まらんかったら、大阪戻ろ」

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