だいすきボーイフレンド
私はハッとして晴人の顔を見た。
晴人がすぐ顔を近付けてきたから、驚いて後ろに仰反る。

その重心そのままにベッドに倒される。

「怖いで、どしたん」

私は晴人の胸元を抑えながら聞いた。

「なあ、嘘ついたやろ」

酷く傷付いてるその顔が、今にも泣きそうになってる。

「嘘ってなに、何のこと言ってんの」
「図書館で翔平と会うたやろ」

私はベッドの上に倒れながら、ただその顔を見上げる。
何も言い返す言葉はなかった。

「ラーメン屋翔平と行ったんやろ」

なんで私はあの時咄嗟に隠したんだろう。
なんでやましさを感じてしまったんだろう。

私は確かに、翔平に会えるんじゃないかと期待して図書館行った。

すべて晴人にはひた隠しにして会いに行った。

閉口してる私の頬に、ぽとんと水滴が落ちてきた。

「俺は一生涼香の目には映らへんの」

ゴクリと自分の唾を飲み込む音が耳元でした。

私は酷く晴人を傷付けている。

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