悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画～それでも王太子を愛してしまいました

そちらを見ると、スラっと背の高い栗色のくりくり髪が印象的な男性が帯刀して敬礼していた。

「よろしいのでしょうか？」

「よい。あの者が非番の時はマウザナイト語は話せない者になるが、必ず誰かをつける故、安心しているがよい」

「はい。ありがとうございます」

確かに、ラングレーはマウザナイトより治安は悪い。

ラングレーの西側は小国がひしめいており、常に争っているため、その飛び火がラングレーにも及ぶのだ。だからこそ、アシュトンも若いころからずっと戦争に出る必要があった。
先日、その小国の中の一番大きな国を平定し、ラングレー王国の統治下に置き、南の比較的大きな国であるキシュレー王国と同盟を結ぶことが確定したので、戦火は落ち着いたと聞くが…まだまだ治安はよくはない。護衛騎士をつけてもらえるのはありがたい。


「リヴァイ・アンダーヒルと申します」

近くで見ると、碧い綺麗な瞳をしているイケメンで女性にモテそうな顔立ちだ。

「いろいろお世話になります。よろしくね」

男には媚びないと誓った。
だから、結構そっけなくしようと、最後の『にこっ』はやめたところ、特に顔も赤らめられなかったのでよしとしよう。

「そうだわ。リヴァイ。あなたにもお願いがあるの」

部屋に帰るとさっそくお願いだ。

「ラングレー語を教えて頂戴」

「僕が…ですか？」

マウザナイト語で答えてくれた。

発音がいい。

「あら、ネイティブみたいな発音ね」

「はい。こちらの方が短いんです。僕はマウザナイトの出身なので」

「じゃぁわたしと同じじゃない？エレンとリヴァイ2人に教えてもらったら1か月で確実にマスターできるわね」

もちろん王太子妃教育でもラングレー語はやるのだが、午前中に少しやるだけではなかなか覚えられないのだ。
2人いればどちらかは暇だろう。

「わかりました」

こうして、エレンとリヴァイの手をかりてオフィーリアのラングレー語はみるみるうちに上達していったのである。