【SR】松嶋家の『殺意』
ひとしきり笑いころげた茂男の視
界に、録音を知らせる留守番電話
の赤いランプがチラついた。
フラフラと歩み寄り、ボタンを押してみ
ると――――
ピーーー…
『母親は預かった。
返して欲しければ8万5千円用意し
ろ。
詳細は追って連絡する。』
さすが夫婦だな。
考える事は同じか。
ピーーー…
『次男は預かった。
返して欲しければ1万9千8百円用
意しろ。
詳細は追って――――』
ブチッ!
暁。
お前、新型のPSP前から欲しがっ
てたもんな。
引っこ抜いた電話線を手に、茂男
は芽生え始めていたものの存在を
確信した。
悲しみに澱んだ瞳に今、聖火の如
く熱い火が灯される。