天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「新幹線なら駅に行けば問題ない。グリーン車の予約をしたらその席に座るだけだし、困ったら駅員も沢山いる。新神戸駅まで迎えに行くから改札を出たら俺がいる」

「でも……」

「ホテルなら心配ない。俺のポイントが貯まっているからお金はかからないよ」

私が心配に思っていそうなことを次々と解決していく。

「茉莉花が行きたいか、行きたくないかを聞きたい」

「行きたい。けど……」

啓介さんは笑っていた。

「行きたいんだよな? 俺と行くのが嫌なわけでないなら俺は連れて行くことに決めた」

クッションを抱き抱える私ごとぎゅっと抱きしめてきた。

「一緒に行こう。楽しいこと沢山しよう。美味しいものいっぱい食べよう。俺が茉莉花を幸せな気持ちにさせたいんだけど、そんなわがままを叶えてくれないか?」

その言い方に胸の奥がギュッとなり、愛おしくなった。私だけでなく、彼にも幸せになって欲しい。

「行きます。でも私だけでなく、啓介さんにも幸せになって欲しい」

「俺は茉莉花といられるだけですごく幸せだ」

彼の腕の中で目が合うと唇が重なった。
久しぶりにゆっくりとした時間の中で、彼の温もりを感じることができ、彼の甘い口づけに頭の中が真っ白になった。
ただこの時間がもっと続いたらいいのに、と思った。

彼の足の中に入るように座らされ、密着するとドキドキした。耳元から聞こえてくる彼の声にもどかしくなり、彼の手を握ってしまうと彼もぎゅっと握りかえしてくれた。
彼とくっつきながら神戸の話をすると旅行が楽しみになってきた。今まで個人で旅行なんてほぼ皆無だった。それが大好きな啓介さんと行けるなんて幸せすぎる。
時折悪戯するように首元に彼の唇を感じる。その悪戯さえもどかしく、私はふっと振り返る。するとまた彼の唇と重なり合う。
話をしたり、キスをしたり信じられないくらい甘い時間だった。
明日も仕事だから、と彼が帰ろうとするのだが、その言葉が寂しくなってしまうくらい彼と離れがたかった。
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