天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「そーれーよーりー。大輔くんとは会ったの?」

急に話が変わり、蘭子は一気に顔が赤らんだ。

「う、うん。会った。茉莉花が気を利かせてくれて帰っちゃったから連絡したの。そしたら家まで来てくれた。で、でもね。茉莉花の話をしたら気を遣わないで良かったのに、って言ってたんだよ」

「そんなこと出来るわけないじゃない。2人の邪魔は出来ないよ。あーあー、いいなぁ。私にも蘭子みたいな人いないかな」

ベッドに寄りかかりながら天井を見上げ、つぶやいた。

「大輔くんみたいな人?」

「違う。蘭子みたいな人! 私のことを裏切らない、優しい、精神的な支えとなってくれる人」

「きっとどこかにいるんだよ。茉莉花はまだ見つけていないのかもしれないけど相手は見つけてくれているかもしれないでしょ」

「どうしたら恋に落ちるんだろう」
 
少し先輩になった蘭子に質問をした。  

「うーん。気がついたら恋してたかな」

なんだか上級者のような回答だった。
いつか私にもそんな人が現れるのかな。
全くそんな気配もないため実感はなく、どこか他人事のような気持ちしかしなかった。翌朝、蘭子は元気に出勤していった。
私はと言うと、昨日の夜蘭子と話せたことで荒れた心が穏やかになった。
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