天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「こんにちは。昨日はワークショップ、とても楽しかったです。ありがとうございました」

「茉莉花さん、こんにちは。今日は竹之内と一緒に?」

「はい。昨日お誘いいただきまして、連れてきてもらっています。どの作品も素敵でため息が出てしまいますね」

佐倉さんはうん、うんと頷いている。

「本当に生き生きとしている。こんな魅せ方があったのかと勉強になります」

「社長! どうして今日来ているですか? 昨日のはずでしたよね?」

啓介さんは軽く睨むように冷たく言い放っている。

「あ、うん。急に行きたいところができて昨日は来られなかったんだ」

「今日はせっかく1日休みを使ったのに結局仕事ですか。働きすぎないでくださいね」

「あ、うん。でもそういう竹之内だってこうして仕事がらみだろう」

たしかに。
昨日、ここにひとりで来るのは気まずいから付き合ってほしいと言われた。仕事の延長戦に違いない。

「ふたりともワーカーホリックですね」

私が笑っていうと苦笑いをしていた。

「私はプライベートも兼ねてますから社長とは少し違いますけどね」

と啓介さんはボソッと言っていた。
私を連れている時点で半分プライベートになってしまったということなのね。

「佐倉さんはもう見終わったのですか?」

私が話を変え質問をすると、

「えぇ、ほとんど見ましたよ。挨拶もあらかた済ませました」

「社長、それじゃあ私たちはまだ途中なのでこれで失礼します」

そう言うと挨拶もそこそこに次のブースへ連れ出されてしまった。
< 69 / 167 >

この作品をシェア

pagetop