天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「可愛らしい花だよね。大きな花の添え物のように使われることが多いんだ。でも主張しすぎず、周りを引き立ててくれる存在って本当は大切なんだよ。全てが大輪の花だとバランスが取れないんだ」

「そうですね。私はそういう存在の方が好きです。目立たなくていいです。気がついてくれる人が少しいたらそれでいい」

彼は深く頷いてくれた。
しばらく他の作品も見ていると向こうから佐倉さんが歩いてくるのが見えた。

「あ……。すみません。社長は昨日ここに来る予定と聞いていたのですが。ちょっと失礼します」

私と会わせたい訳ではなかったようで彼はひとりで佐倉さんの元へむかった。
もしこれが啓介さんの作戦で佐倉さんとまた合わせるために連れてこられたのなら幻滅していた。
けれど違ったようでホッとした。
会いたい訳でも、会いたくない訳でもない。
ただ、騙されてここに連れてこられたのではなかったことに安堵した。
騙されて連れてこられた訳でないのなら私から挨拶するのはありだろう。
知り合いに会って知らんぷりはできない。
佐倉さんと啓介さんが話しているところに近寄って行った。
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