天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「シェフと仲がいいんですね」

「年が近いのもあるけど、料理を気に入って一時期毎日のように通ってましたから。リーズナブルで美味しいなんて最高じゃないですか。安治郎だってそうですよね。気にいると通い詰めてしまうんです」

啓介さんは毎日とまで行かないがここ数ヶ月安治郎に通っていた。仕事の移動中なのか昼に現れたり夕方ふと来店することもあった。

「美味しいものが好きなんですね」

「嫌いな人はいないでしょう。茉莉花ちゃんは何が好きなの? やはり女子はイタリアンでしょ?」

「もちろんイタリアンは好きです。でもなんでも好きですよ」

そんなはなしをしているとジェラートが運ばれてきた。

「お待たせしました。ピスタチオとコーヒーのジェラートです」

フルーツと一緒にジェラートがふたつ盛られており、お腹がいっぱいと思っていたのにそれを見たらまた食べられてしまう。

「おいしーい!」

「茉莉花ちゃんはなんでも美味しく食べてくれて連れて来甲斐があるね。また一緒に美味しいものを食べよう」

「嬉しい。楽しみにしてますね」

パッと口から出たその言葉に自分自身驚いた。
でも啓介さんと一緒に食事に行けると思い素直に嬉しいと思った。昨日もとても楽しかった。今日だって花を見ている時も食事の時も、彼と話していると自分の言葉で飾ることなく話すことができる。だからまた彼と一緒に食事が出来たら嬉しいし、私もそれを望んでいることに少し驚いた。

「じゃあまた誘ってもいいんだよね?」

私が頷くと彼はまた頭をかきながら笑っていた。
< 75 / 167 >

この作品をシェア

pagetop