年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
10.
 さっちゃんに会えば会うほど、彼女のことばかり考えてしまう。
 撮影しながらも、さっちゃんならどんなふうに仕上げるんだろう? なんてよぎって慌てて頭を振った。

 緊張気味の顔が段々と打ち解けて、時々素顔の可愛らしい顔を見せてくれるだけで嬉しくて、どうやったらもっとそんな顔を見せてくれるんだろう? なんて考えてしまう。


「あ、ごめんね~。わざわざ来て貰って」

 データ補正がどうしても上手くいかなくて、司に聞こうと電話をすると、「見てやる」と司は家まで来てくれた。

「わざわざって距離でもねーだろ」

 顔を顰めながら、司は遠慮なく家に入る。こういう時、同じマンションにしといて良かったなぁ、なんて思いながら先に進む司の後に続いた。

「コーヒー淹れてくるから座っといて」

 俺はキッチンに向かうと、すでに淹れてあった薄めのコーヒーをカップに注いだ。

「お待たせ~」

 リビングに戻ると、可愛いテディベアと並んでソファに座る超絶イケメンと言うなかなかシュールな光景がそこにある。

「はい」

 カップを差し出すと、それを受け取り司は横をチラリと向いた。

「こんなのあったか?」

 司は右手にカップを持ったまま、左手で左側にあるベア達に手を伸ばそうとする。

「ストップ。触らないでくれる?」
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