年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
『帰りに話聞いてくれないかな?』って香緒ちゃんには言って臨んだ撮影。

 今年最後の、3人での撮影も無事終わり、他のスタッフに挨拶をしてから帰る準備する。いつもの重い荷物を抱えると、香緒ちゃんと連れだって車に向かった。

「じゃ、とりあえず家に行こっか。まだお疲れ様会の用意は出来てないと思うけど」

 香緒ちゃんは車のエンジンをかけながら、隣に座る私にそう言った。

「うん。武琉君一人で用意して貰うの悪いし、手伝うよ?」
「だね。僕だってお皿並べるくらいできるし」

 走り始めてしばらくすると、香緒ちゃんから口を開く。

「あのさ、さっちゃん。その……睦月君とはどうなの?」

 前を見て、運転しながら香緒ちゃんは聞きづらそうに私に尋ねる。

「何も……ないよ。色々相談に乗ってもらったり、誘ってもらったりはするけど、それだけ。睦月さんにとっては、私も香緒ちゃんと同じ。妹みたいな存在なんじゃないかな……」

 私も前を向いて、流れ行く高層ビルを眺めながらそう答えた。

「そうなの? それ、睦月君に聞いた?」
「聞くも何も……きっとそうだよ……」

 そんな事、怖くて聞けない。

 私のことどう思ってますか? なんて、答えは決まってる。だから、妹枠で香緒ちゃんと同じように可愛がってもらってる方がいい。その方が、ずっと睦月さんといられるから。
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