年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 とりあえず、待ち合わせたカフェに入ろうと言うことになり2人で入る。お昼時だけど運良くすんなりと席に着けて、コーヒーをオーダーしてからようやく俺は本題に入った。

「で、改まって相談事って何?」

 そう尋ねると、何故か武琉君はバツの悪そうな顔をして俺を見た。

「その……すみません。実は……香緒に……」

 そこまで言うと、武琉君は言い辛そうに視線を下に向けた。

「香緒に?」

 何が言いたいのか全く検討もつかない。俺は一言だけ復唱するように尋ねると、武琉君は決心したように顔を上げた。

「睦月さんを、あと1時間足止めするように言われてるんです」
「…………どう言うこと?」

 突拍子もない内容に、俺は目を丸くして武琉君の顔を眺めた。それから、もの凄く困ったような顔をしている武琉君に、笑いながら話しかけた。

「1時間は困るかなぁ。これから約束あるし」
「たぶん……その、俺も香緒も何も聞いてないんですけど……」

 武琉君がそこまで口にしたタイミングで、コーヒーが運ばれてきて店員さんが柔かにテーブルに置くと去っていく。俺はそれを手にしながらまた武琉君の方を見て「うん、それで?」と続きを促す。

「睦月さんが約束してる相手を……今、香緒が連れ回してるので」
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