年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 ガラガラと部屋の引き戸が開くと、私の顔を見て一斉に2人が飛び込んで来た。

「「ママっ!」」
「いらっしゃい。待ってたわよ?」

 私はそう2人に笑いかけた。

 ソファに座る私の両脇にいるのは、もうすぐ4才で、最近はすっかりお姉さんになってきた娘。そして、赤ちゃんから子どもに成長した2才を過ぎた息子。私の可愛い子ども達だ。

「2人とも早いよ!」

 そう言いながら遅れて入って来たのは睦月さんだ。

「ママ。赤ちゃん? だれ?」

 私の横に座り、娘が尋ねる。

「はーちゃんの弟よ? よろしくね?」

 私は自分の腕に抱く、産まれたばかりの新しい家族の顔を見せる。

「可愛いね!」

 その顔を覗き込み、娘はそう声を上げた。反対側では、睦月さんが息子を膝に乗せ同じように見ている。

「本当に可愛いよ。さっちゃん、ありがとう」

 睦月さんは顔を上げると、私にそう言って微笑みかけてくれた。その顔を見て、私は娘が産まれたとき、泣きながらそう言ってくれた睦月さんを思い出していた。
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