Hold Me Tight
「なんで私?」

「一目惚れに理由なんてないでしょ」

 一目惚れ…?私に…?

「君が一番最初にうちの店に来たときのことをよく覚えてるよ。ひとりで楽しそうにニコニコしながら雑貨を眺めている君の姿が印象深くてね。僕の大事なコレクションをキラキラした目で見つめる君がすごくかわいかったんだよ」

 そんなことを思っていたなんてまったく知らなかった。こちらまで恥ずかしくなってしまう。

「大抵、僕の店に来る女性客は、THE ALFAの高崎として僕に話しかけてくるけど、純粋に骨董屋の店主として接してくれるのが嬉しかったんだよね。でも、バンドやってる僕も見てほしいと思ったから、招待しちゃった」

 彼はペロっと舌を出して照れ笑いをした。

「この前、ホールド・ミー・タイトをリクエストされたときには、ちょっとドキッとしちゃったなあ。『私を強く抱きしめて』、なんてさ~。深読みしちゃったよ」

 途端にカッカと顔が熱くなる。あのときは深く考えていなかったが、結果的にホールド・ミー・タイトを演奏する高崎さんにコロッとやられてしまった。

「アンティークショップ高崎の高崎さんもTHE ALFAの高崎さんも、どちらも違った魅力があって、どちらも素敵ですよ」

「あホント?」

 彼は顔を上げて、パアッと目を輝かせニッコリ微笑んだ。

「じゃあ、僕のこと好き?」

 彼は上目遣いで私を見つめ、分かり切ったことを聞いてくる。あらかじめ私の気持ちを知っていてコンサートに誘ったのではないかと疑いたくなるほどだ。そしてあんなふうにかっこよく楽器を演奏し歌う姿を見せつけられたら…答えは決まっている。

「高崎さん、ずるいです。本当にずるい」

「え?」

「ただの骨董屋の店主のときから好きですよ」

「そうなの?」

「はい。今はその…ホールド・ミー・タイトって気分です」
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