お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

「兵隊さん、家は、この時期、船乗りさんが多いんですよ。みんな朝が早いんですから、そんな大声、出さないでおくんなさいよ」
「だったら、部屋番号を教えてくれ。幾らデロスでも、ストロベリーブロンドは珍しい。貴族の娘が独りで泊まってたら記憶に残るだろう?」
「ちょっとお待ち下さい」
 女将は宿帳を取り出して確認を始めた。
「残念ながら、女性のお泊まり客はいらっしゃいません」
 女将の言葉にアルフレッドは血の気が引くのを感じた。
「独りもか?」
「はい。お二人客はいらっしゃいます。ですが、どちらもデロスの方ではありまません」
「じゃあ、二人客でも三人客でも構わないストロベリーブロンドの上品な女性を連れた客は?」
 アルフレッドが女将と話しているところにカルヴァドスが下りてきた。
 カルヴァドスを見た瞬間、女将の頭にカルヴァドスが連れていた娘の姿が思い出された。
 カルヴァドスを見た瞬間、女将の頭にカルヴァドスが連れていた娘の姿が思い出された。
 髪の色は確認していないが、あの肌の白さはデロス独特の白さだったし、敢えて髪の毛を隠していたあたりが、珍しいストロベリーブロンドだったのではと女将に思わせたが、連れがカルヴァドスだったので、女将はしらを切り通す事に決めた。
「さあ。恋人連れの方もありますからねぇ。いちいち女性の身なりだとか、確認してませんから」
 女将の答えにアルフレッドはその場に座り込みそうになった。

(・・・・・・・・アイリがいない? もう、どっかの船に乗せて貰ったってことか? それとも、質の悪い人買いに捕まって、船に連れ込まれたとか? そんな事になったら大変だ・・・・・・・・)

 呆然とするアルフレッドに、女将は困ったように顔をしかめた。
「あの、お国のお役目だってのは分かりますよ。でも、こっちも商売なんですから、もう良いですか?」
「ああ、すまなかった。手を煩わせた」
 アルフレッドはお礼を言うと、女将に背を向けて宿を後にしようとした。
「兵隊さん」
 後ろから声をかけられ、アルフレッドは慌てて振り向いた。
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