お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
デロスの王族は、民にとって信仰の象徴でもあり、心のより所でもある。デロスが、決してパレマキリアの半島の一部などではなく、かつては島国であり、はるばるイエロス・トポスから神の言葉を聞く民が移り住み、海の女神のための神殿を建てた、その歴史の象徴でもあるから。
外国人のカルヴァドスが耳にするほど、あからさまに二人の婚約は祝福されていなかった。民は、王子が純血の妻を貰えば良いと、それ程ピリピリしては良なかったが、貴族達は、いっそ婚約者を暗殺するべきではないかとまで考えているほどだった。
しかし、直後、王子が奇病に倒れた。
中には、アイリーンの婚約が神の怒りを買い、罰が王子に下されたなどと言う、滅茶苦茶な話もまことしやかに囁かれていた。
そんなに不幸な婚約なら、姫をさらって逃げてしまおうと、カルヴァドスは何度も思った。
実際、何度か計画を立て、王宮に忍び込み、アイリーンを訪ねようとした。しかし、アイリーンには強力な護衛が付いていた。
白銀の狼と、赤毛のチャウチャウ犬だ。
二匹の連係プレイは、カルヴァドスの進入計画に勝手に相乗りして王宮に忍び込み、まさかの抜け駆けでカルヴァドスよりも一足早くアイリーンの寝所に忍び込んだ、某貴族の子息が、滅茶苦茶に追い回され、ガブガブという表現がピッタリなくらい噛みつかれる姿を見たカルヴァドスは、潔く夜這いを諦めた。
それ以来、カルヴァドスは苦しい恋に胸を焦がし、それでもデロスを離れることができず、年に何度もデロスを訪れ、神殿で祈りを捧げるアイリーンの姿を垣間見ては、恋心を募らせていった。
その恋する相手が、いま、カルヴァドスのベッドで無防備に横になり、うたた寝をしていた。
手を伸ばせばその肌に触れることも、抱きしめることもできる。
事実、夕べは抱き合って眠ったし、さっきだって船尾で泣きじゃくるアイリーンをしっかりと抱きしめていたのは他の誰でもないカルヴァドスだった。
アイリーンの事を考えていると、時間はあっという間に経ち、若いクルーがミルクティーを持ってきた。
揺れる船の中では、上品に紅茶を入れてからミルクを入れるような事は貴重なミルクをこぼすリスクが高いので、ある意味、ミルクの大盤振舞ともいえる、煮立ったミルクに茶葉を入れて煮出した物をミルクティーと呼んでいた。
外国人のカルヴァドスが耳にするほど、あからさまに二人の婚約は祝福されていなかった。民は、王子が純血の妻を貰えば良いと、それ程ピリピリしては良なかったが、貴族達は、いっそ婚約者を暗殺するべきではないかとまで考えているほどだった。
しかし、直後、王子が奇病に倒れた。
中には、アイリーンの婚約が神の怒りを買い、罰が王子に下されたなどと言う、滅茶苦茶な話もまことしやかに囁かれていた。
そんなに不幸な婚約なら、姫をさらって逃げてしまおうと、カルヴァドスは何度も思った。
実際、何度か計画を立て、王宮に忍び込み、アイリーンを訪ねようとした。しかし、アイリーンには強力な護衛が付いていた。
白銀の狼と、赤毛のチャウチャウ犬だ。
二匹の連係プレイは、カルヴァドスの進入計画に勝手に相乗りして王宮に忍び込み、まさかの抜け駆けでカルヴァドスよりも一足早くアイリーンの寝所に忍び込んだ、某貴族の子息が、滅茶苦茶に追い回され、ガブガブという表現がピッタリなくらい噛みつかれる姿を見たカルヴァドスは、潔く夜這いを諦めた。
それ以来、カルヴァドスは苦しい恋に胸を焦がし、それでもデロスを離れることができず、年に何度もデロスを訪れ、神殿で祈りを捧げるアイリーンの姿を垣間見ては、恋心を募らせていった。
その恋する相手が、いま、カルヴァドスのベッドで無防備に横になり、うたた寝をしていた。
手を伸ばせばその肌に触れることも、抱きしめることもできる。
事実、夕べは抱き合って眠ったし、さっきだって船尾で泣きじゃくるアイリーンをしっかりと抱きしめていたのは他の誰でもないカルヴァドスだった。
アイリーンの事を考えていると、時間はあっという間に経ち、若いクルーがミルクティーを持ってきた。
揺れる船の中では、上品に紅茶を入れてからミルクを入れるような事は貴重なミルクをこぼすリスクが高いので、ある意味、ミルクの大盤振舞ともいえる、煮立ったミルクに茶葉を入れて煮出した物をミルクティーと呼んでいた。