運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜



両親はすでに挨拶周りに行っているのでここで頼れるのは他に1人、ここは逃してなるものかとガシッとその腕を掴んで逃亡を阻止する。



「うぉっ?!え、何?」


「あら申し訳ありませんお兄様。ところであのお方のことをご存じですか?」


「うん、全く心のこもらない謝罪をどうも。で、誰のこと?」



首を傾げる兄にさりげなくあの美しい麗人に目を向ける。



「あー……えーっと、」


「知っていること全て話しなさい。さもなければお兄様の部屋にある標本全てこの手で叩き割ります」


「やめて」



割とガチめに焦る兄の姿に冷ややかな目で全てを吐けと迫る。その甲斐あってか全ての情報を搾り取ることができた。


かの麗人のお名前はグラナティス・ヴィジュレ様。ヴィジュレ公爵の次男であり魔術師塔に属するかなり位の高い魔術師でもある。魔獣討伐にもかなり貢献しているらしく、攻守のバランスの取れた方であるけどどちらかと言えば実戦よりも研究している方が好きなのだとか。ちなみに得意な属性は闇と炎。


年齢は21歳で独身。貴族においてその歳まで独身というのは珍しいけど魔術師はどちらかと言うと魔術に没頭する人が多いらしくそれなりの年齢になってからお見合いなどで婚姻することが多いらしい。そして離婚率と終生までラブラブ率が半々らしい。これは魔術師の気質によるものだとか。


そしてここ重要な性格は温厚らしいけど詳しくは知らないと。というのもこの方、あまり社交界には出てこずに魔術師塔に籠っているか討伐に駆り出されているから普通の交流がどこともされていないらしい。あらまぁ役立たずなお兄様だこと。



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