エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
珠希は弾いてもいいのだろうかと、小田原に顔を向けた。
今日は打ち合わせだけで、演奏は直前のリハーサルと本番だけだと聞いている。
すると小田原は顔をほころばせ「是非、お願いします」と声を弾ませた。
そしてタブレットを覗き、その中の一曲を指差した。
それは国民的アイドルグループ「グリシーヌ」の曲で、グループ唯一のクリスマスソングとして有名だ。
「私、実はこの曲が大好きなんです。だから、聞いてみたいです」
「あ、私も同じです。実は私、グリシーヌのCM発表会の司会をしたことがあって、そのときから彼らの大ファンなんです。だから、是非お願いします」
「……演奏するのはかまわないですけど。じゃ、じゃあ、とりあえずこの一曲だけ」
珠希はふたりから向けられる期待に満ちた声と表情に気圧され、エレクトーンへと足を向けた。
まずは電源を入れて、バッグから取り出した音源データが入ったUSBをエレクトーンに挿し込み手早く設定を完了させる。
「始めますね」
珠希は背後に立つふたりに声をかけ、演奏をスタートさせた。
パイプオルガンの音色から始まるその曲は、序盤はゆっくりとしたテンポで進み、次第にいくつもの音色が重なりアップテンポに変化していく。
初めてのクリスマスを過ごす恋人たちのはしゃぐ気持ちを歌ったこの曲は五年前に発表され、CMでも使われていたこともあり誰もが耳にしている有名な曲だ。
珠希自身も大好きで、今も弾いているうちに緊張感は薄れ、歌詞が口を突いて出てくるほど心も弾む。
自然と身体はリズムをとりながら揺れ、指先も踊るように鍵盤の上を動き回る。
曲のラストもパイプオルガンの音色が長く続き、それほど長くない四分ほどの曲を、珠希は気持ち良く弾き終えた。
両手両足を鍵盤から離し、ミスなく演奏できたことにホッと息をついたとき。
「すっごーい。グリシーヌだ」
甲高い女の子の声がホールに響き渡った。
今日は打ち合わせだけで、演奏は直前のリハーサルと本番だけだと聞いている。
すると小田原は顔をほころばせ「是非、お願いします」と声を弾ませた。
そしてタブレットを覗き、その中の一曲を指差した。
それは国民的アイドルグループ「グリシーヌ」の曲で、グループ唯一のクリスマスソングとして有名だ。
「私、実はこの曲が大好きなんです。だから、聞いてみたいです」
「あ、私も同じです。実は私、グリシーヌのCM発表会の司会をしたことがあって、そのときから彼らの大ファンなんです。だから、是非お願いします」
「……演奏するのはかまわないですけど。じゃ、じゃあ、とりあえずこの一曲だけ」
珠希はふたりから向けられる期待に満ちた声と表情に気圧され、エレクトーンへと足を向けた。
まずは電源を入れて、バッグから取り出した音源データが入ったUSBをエレクトーンに挿し込み手早く設定を完了させる。
「始めますね」
珠希は背後に立つふたりに声をかけ、演奏をスタートさせた。
パイプオルガンの音色から始まるその曲は、序盤はゆっくりとしたテンポで進み、次第にいくつもの音色が重なりアップテンポに変化していく。
初めてのクリスマスを過ごす恋人たちのはしゃぐ気持ちを歌ったこの曲は五年前に発表され、CMでも使われていたこともあり誰もが耳にしている有名な曲だ。
珠希自身も大好きで、今も弾いているうちに緊張感は薄れ、歌詞が口を突いて出てくるほど心も弾む。
自然と身体はリズムをとりながら揺れ、指先も踊るように鍵盤の上を動き回る。
曲のラストもパイプオルガンの音色が長く続き、それほど長くない四分ほどの曲を、珠希は気持ち良く弾き終えた。
両手両足を鍵盤から離し、ミスなく演奏できたことにホッと息をついたとき。
「すっごーい。グリシーヌだ」
甲高い女の子の声がホールに響き渡った。