エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
バッグにUSBやタブレットをしまいながら、珠希は振り返る。
宗崎は身長百六十センチの彼女よりも頭ひとつ背が高く、白衣がよく似合っている。
白石病院の脳神経外科は、最新の医療設備がそろっているのはもちろん、脳外科の権威として世界に知られている笹原守という医師の存在が有名だ。
以前、笹原に学びたくて国内中から熱意のある優秀な脳外科医が白石病院に集まっていると拓真が言っていたのを思い出した。
目の前にいる宗崎も、エリート脳外科医のひとりなのだろう。
切れ長の涼しげな目が印象的な小さな顔は、ため息が漏れそうなほど整っている。
スラリとした体躯は白衣を着ていてもスタイルの良さが露わで、医師というよりもモデルのようだ。
ただでさえ同年代の男性との接点がないというのに、目の前にはハイレベルの男性。
珠希は居心地の悪さを覚えどぎまぎする。
「あの、遥香ちゃんなんですけど」
急に速くなった鼓動をごまかすように、珠希は口を開いた。
「強引にエレクトーンを勧めてしまいましたけど、よかったんでしょうか。計画を立ててリハビリに取り組んでいるはずなのに、私が余計なことを言って治療の邪魔をしたかもしれないですよね。すみません」
遥香の手足に残る事故の後遺症に気づかずエレクトーンを勧めたが、それが良かったのかどうか、今さらながら気になっている。
もしも遥香の身体機能が今より改善する見込みがないのなら、エレクトーンの練習ではなく日常生活への対処が優先されるはずだ。
遥香がグリシーヌの曲に心躍らせている姿を見て安易にレッスンを勧めたが、それが彼女のリハビリのスケジュールに影響しないのか、心配なのだ。
「逆だよ」
表情を曇らせる珠希に、宗崎はあっさりと答える。
「逆、ですか?」
「そう」
宗崎は優しい目でうなずく。
宗崎は身長百六十センチの彼女よりも頭ひとつ背が高く、白衣がよく似合っている。
白石病院の脳神経外科は、最新の医療設備がそろっているのはもちろん、脳外科の権威として世界に知られている笹原守という医師の存在が有名だ。
以前、笹原に学びたくて国内中から熱意のある優秀な脳外科医が白石病院に集まっていると拓真が言っていたのを思い出した。
目の前にいる宗崎も、エリート脳外科医のひとりなのだろう。
切れ長の涼しげな目が印象的な小さな顔は、ため息が漏れそうなほど整っている。
スラリとした体躯は白衣を着ていてもスタイルの良さが露わで、医師というよりもモデルのようだ。
ただでさえ同年代の男性との接点がないというのに、目の前にはハイレベルの男性。
珠希は居心地の悪さを覚えどぎまぎする。
「あの、遥香ちゃんなんですけど」
急に速くなった鼓動をごまかすように、珠希は口を開いた。
「強引にエレクトーンを勧めてしまいましたけど、よかったんでしょうか。計画を立ててリハビリに取り組んでいるはずなのに、私が余計なことを言って治療の邪魔をしたかもしれないですよね。すみません」
遥香の手足に残る事故の後遺症に気づかずエレクトーンを勧めたが、それが良かったのかどうか、今さらながら気になっている。
もしも遥香の身体機能が今より改善する見込みがないのなら、エレクトーンの練習ではなく日常生活への対処が優先されるはずだ。
遥香がグリシーヌの曲に心躍らせている姿を見て安易にレッスンを勧めたが、それが彼女のリハビリのスケジュールに影響しないのか、心配なのだ。
「逆だよ」
表情を曇らせる珠希に、宗崎はあっさりと答える。
「逆、ですか?」
「そう」
宗崎は優しい目でうなずく。