エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
「着せ替え人形でもいいんです。碧さんとこうして笑っていられるなんて、結婚したときには考えられなかったから。他のことはどうとでも。問題ありません」
「な、ま、まあ、そうだな」

普段肩を抱くだけでも照れて顔を真っ赤にする珠希が、ときおりサラリと大胆な言葉を口にする。
今も平然と碧を使い物にならなくしてしまった。

「俺、珠希に骨抜きにされる未来しか見えないんだけど」
「え、なにか言いましたか」
「いや、別に。ただ、珠希があまりに可愛くて、食事どころの気分じゃなくなったって言っただけ」

仕返しとばかりにそう言ったものの、結局珠希は花がほころぶように笑い、仕掛けた碧は照れて視線を泳がせている。
そのとき、少し離れた空に、花火が大きく広がった。
続けていくつもの大輪が夜空に咲き、周囲を歩く人たちも足を止めて見上げている。

「綺麗ですね」

珠希も一心に空を見上げる。

「白石ホテルの花火だな。ライトアップは季節問わずだけど、花火は夏とこの時期だけなんだ」

碧の説明にも珠希は上の空でうなずき、瞬きすら惜しむように花火を見つめている。

碧は珠希の肩を抱き、唇を重ねた。

「愛してるよ」

その瞬間、ひときわ大きな音とともに、辺りがまるで真昼のような光に包まれた。
                                 

 【完】
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