エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
悪びれる様子もなく楽しげに笑う母を、珠希は呆然と見つめた。

「結婚を前提に……」
「そうだ。碧君はもちろん、ご家族みなさんうちの事情はご存じだ。そのうえで珠希と結婚したいと言ってくれたんだ。珠希も碧君のことを気に入っているようだし、前向きに考えてみたらどうだ」
「そんな……」

珠希は力強く語る父の声を遠くに聞きながら、碧の腕の中で感じた温もりを思い出していた。



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