エリート外科医との政略結婚は、離婚予定につき~この愛に溺れるわけにはいきません~
珠希との見合いだけでも面倒だったはずなのに、さらに厄介ごとを抱えた碧が不憫でならない。
「なにか私にできることはありますか? といっても私には音楽以外になにも取り柄はないんですけど。……すみません。お役に立てなくて」
自分の力のなさに、珠希はがっくりと肩を落とした。
「十分役に立てると思うけど」
落ち込む珠希の耳もとに、やけに力強い碧の声が響いた。
「え?」
「珠希が役に立てることならあるだろう? 俺と結婚すること」
「……結婚? え、でもその話ならとっくに」
「終わってない。そんなこと、俺はひとことも言ってない」
語気を強めた碧の声にたじろぎ、珠希は目を瞬かせる。
「結婚すれば紗雪も俺に興味がなくなるだろうから、早く結婚したいんだ。この先また病院に来られても困るし、知っての通り両親は俺に結婚しろってうるさくて、それも厄介なんだ」
「た、たしかに」
さっきまで陰りを帯びていた頬が赤みを取り戻し、目には力強い光が宿っている。
珠希はあっという間に変化した碧に圧倒されている。
「仕事に集中するためにも、早く結婚したい」
膝の上に置いていた珠希の手を、碧が両手で握りしめる。
「そ、そう言われても……」
口ごもる珠希に、碧は「迷うことないだろ」とつぶやき碧の手をさらに強く握りしめる。
その強さに碧の本気を感じ、珠希はたじろいだ。
「さっき珠希との結婚に俺になんのメリットがあるのかって気にしてたけど。俺にしてみれば、珠希よりも俺の方にこそメリットがあると思う。面倒なことから解放されて、仕事に集中できる。これって最大のメリットだと思わないか?」
「そ、そうですね」
ここぞとばかりに畳みかけてくる碧の強気な言葉に、珠希は思わずうなずいた。そんな珠希に自信を深めた碧が再び口を開く。
「なにか私にできることはありますか? といっても私には音楽以外になにも取り柄はないんですけど。……すみません。お役に立てなくて」
自分の力のなさに、珠希はがっくりと肩を落とした。
「十分役に立てると思うけど」
落ち込む珠希の耳もとに、やけに力強い碧の声が響いた。
「え?」
「珠希が役に立てることならあるだろう? 俺と結婚すること」
「……結婚? え、でもその話ならとっくに」
「終わってない。そんなこと、俺はひとことも言ってない」
語気を強めた碧の声にたじろぎ、珠希は目を瞬かせる。
「結婚すれば紗雪も俺に興味がなくなるだろうから、早く結婚したいんだ。この先また病院に来られても困るし、知っての通り両親は俺に結婚しろってうるさくて、それも厄介なんだ」
「た、たしかに」
さっきまで陰りを帯びていた頬が赤みを取り戻し、目には力強い光が宿っている。
珠希はあっという間に変化した碧に圧倒されている。
「仕事に集中するためにも、早く結婚したい」
膝の上に置いていた珠希の手を、碧が両手で握りしめる。
「そ、そう言われても……」
口ごもる珠希に、碧は「迷うことないだろ」とつぶやき碧の手をさらに強く握りしめる。
その強さに碧の本気を感じ、珠希はたじろいだ。
「さっき珠希との結婚に俺になんのメリットがあるのかって気にしてたけど。俺にしてみれば、珠希よりも俺の方にこそメリットがあると思う。面倒なことから解放されて、仕事に集中できる。これって最大のメリットだと思わないか?」
「そ、そうですね」
ここぞとばかりに畳みかけてくる碧の強気な言葉に、珠希は思わずうなずいた。そんな珠希に自信を深めた碧が再び口を開く。