【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「練習はたくさんしましたが、本番はほとんど踊ったことがないです」
「そうか。では、死ぬ気で特訓して、誰よりもうまくなるから、これからは俺だけと……」
片手で布をたくさん抱えた騎士団長様は、器用にもう片方の手で私の手を持ち上げ、甲に口づけをした。
まるで、ダンスの申し込みをする、その瞬間のように。
それにしても、騎士団長様の死ぬ気の特訓なんて、想像を絶するけれど……。
でもきっと、騎士団長様は華麗にダンスのリードをしてくださるに違いない。
目の前に立つのは、淡い紫のドレスを身に纏った私だ。
きらびやかなシャンデリア、流れる音楽、色とりどりのドレス。
いろいろな問題を抱えているから、それはきっとずいぶん先のことだろうと、このときの私は思っていた。
以外にもその日は、すぐに訪れることも知らずに、私は夢みたいなその世界に思いをはせた。