【受賞・書籍化予定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 いろいろな出来事が起こっても、決して泣かないと決めていた私は、危うく泣きそうになった。

 そんな私の頭をそっと撫でてくれたオーナー。
 それは、私の大切な思い出のひとつになっている。
 でも、まさか全部私のために用意されたものだなんて。

 ***

「どうすれば、こんなに大きな恩を返せるのかな」
「…………ずいぶん長く、物思いにふけっていたけど、シルヴァ様の命を何度も助けているんだから、恩は返しているよ」
「……」

 けれど、騎士団長様と出会うまで、カフェフローラは、私の全てだったから……。

「まあ、姉さんの中で、答えは出ているみたいだから、僕はもうなにも言わないけどね」

 弟の言葉は、いつだって難しい。
 答えなんて……。まだ私はその問いにすら、向かい合えていないのだから。
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