【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「……はあ。姉さんを追いかけていたはずの妖精たちと僕だけが中に入れないと思ったら……。妖精たちはきっと、この展開を知っていたんだろうな」
そっと私の手に重ねられたのは、いつの間にか私よりも大きくなったエルディスの手だ。
そこから流れ込むのは、私の魔力によく似た魔力。
「……悪いけど、姉さんを泣かせたら許さないから!」
金と銀の光、そして淡い紫の光が周囲を包み込む。あまりにも、眩しくて、苦しくて、意識が遠のいていく中、誰かに抱きしめられたことだけがわかった。
パキンッとガラスが割れるような音がする。
胸元の魔石が粉々になって、光に溶け込むかのように輝き、そして散らばっていく。
「綺麗……」
その光の粒だけが、もうろうとした意識の中、はっきりと私の視界に映り込む。