悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
「うふふっ」
「お嬢様……?」

方向性が決まった為、気分スッキリである。
咳払いをした後に、真剣な顔でケリーを見つめる。

「ねぇ、ケリー」
「何ですか? お嬢様」

恐らくケリーは頭が回る、とても。
合コンで敵にしたら絶対に怖い女も完全な味方につけたら自分の利になるのだ。

「ケリーが『嫌な予感がする』って言っていたじゃない?」
「…………はい」
「それは何で?」
「何となく……でもケリーには何となく分かるんです」

記憶によると、ケリーはダリルとの顔合わせの話が出た時から何故か一人だけ浮かない顔をしていた。
ダリルに会うまでは見た目も中身も天使のようだったトリニティはフローレス家を盛り立てる為に、両親の為にとマナーや勉強を一生懸命頑張る献身的な女の子だ。
ここはゲームには出てこない裏話である。
今、トリニティの記憶にあるのは全て幸せで温かいものばかりだ。
けれどダリルに会ってからは、恐ろしい程の執着心が芽を出して、それが徐々に酷くなっていく。

(……ダリルに会うのがますます怖くなるわ)
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