【電子書籍化決定!】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
此方の汚れが浮き彫りになるくらいの純粋さに思わず腰がひけてしまう。
ニタリと黒い笑みを浮かべるダリルが作戦を変えてきた事に気付かないまま、キュンとする胸を押さえていた。

そしてリュート……もといケリーの恋人であるイデアリュートもケリーナルディの記憶を取り戻す為にケリーに思い出話をしていた。
リュートはケリーのペースに合わせるように歩み寄っている。
笑い合う二人を見ていると嬉しくなった。
何故ならば大富豪に嫁ぐよりもリュートといた方がケリーを大切にしてくれると分かっているからかもしれない。
そんなリュートの優しさが心地よいのか、ケリーは少しずつ警戒心を解いて、徐々に心を許しているように思えた。

デュランも暇さえあればフローレス邸で寛いでいた。
コンラッドとダリルを相手にカードゲームやチェスをしつつ、色々とよからぬ知恵を授けているようだ。
デュランはコンラッドを自分の弟のであるダリルと同じように可愛がるようになっていった。
最近、デュランにコンラッドを取られているせいで、寂しさにハンカチをびしょびしょに濡らしている……ところに、上手く入り込んでくるダリルのあざとい可愛さ。
ダメだと分かっていても手を取ってしまう。

(ーーーだって可愛いんだもんッ!)

どうやら女神メーティスはダリルもコンラッドも気に入っているらしく、コンラッドの元に行きたいと煩いのだという。
フローレス邸は以前よりずっと賑わっていた。
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