【電子書籍化決定!】悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜

それにコンラッドは男であり『可愛い』とは令嬢達に使う言葉であって、男であるコンラッドには余り褒め言葉に感じなかった。
成長と共にコンラッドの体が大きくなり、声も低くなれば自然とその言葉は消えていくだろうが……。

「可愛い娘と息子に囲まれて幸せよね」
「ハハー! 本当だな。これでフローレス家も将来安泰だ」
「コンラッド、大丈夫よ? たとえコンラッドが大きくなってもわたくしがずっとずっと可愛がってあげるからね」
「トリニティお姉様……僕だって成長すれば男らしくなれますッ!」
「何言ってるの! コンラッドはずっと可愛いままなのよ?」
「え……?」

いくら成長したら男らしく変わると言っても、トリニティは何故か『コンラッドは可愛いまま』だと言い続けるのだ。
その理由はトリニティが、コンラッドが成長した姿を知っているからであるが、そんな事を全く知らないコンラッドは心の中である決意をしていた。

(トリニティお姉様に、絶対にカッコいいって言ってもらうんだ……!)

小さな闘志に火がついた事も知らずに、トリニティはコンラッドのふわふわの毛を呑気に堪能していた。
そして、ここでもコンラッドを可愛がる事を我慢が出来なかった事によって、彼の未来が変化することになるとは思わなかったトリニティなのであった。
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