継母に永遠の眠りの呪いを掛けられましたが、解呪の力を持つ婚約者が訪れることなく二百年の月日が流れて、自力で目覚めた姫は私です。
これ以上彼を見ていたら気がおかしくなりそうだと、視線を逸らそうとするがそうはさせないと頬を手で包まれた。
「駄目。もっとちゃんと俺を見ろ」
「だ、だって……何がどうなっているのか分からないんだものっ」
「レティアの呪いを解く代わりに俺が呪いの代償を受けたんだ」
「え……」
「戦争で住む場所も家族も失った俺は、死に場所にここを選んだ。最期におとぎ話が本当か嘘かを確かめるために森へ入った。そこでひっそりと眠るレティアに一目惚れして、おとぎ話の通りキスをした」
「う、嘘……」
自力で目覚めたと大声で叫ぶように毎日言っていた自分が恥ずかしい。
目の前に呪いを解いてくれた相手がいながら、感謝することもせずにのうのうと生きてきたなんてっ!
恥ずかしさのあまり手で顔を隠そうとしたが、アーモスが指を絡めて掴んで離さない。
「解呪の力を持ち合わせていない俺は、レティアの呪いを代わりに受けた。それでも俺はレティアと共に生きたいと強く願って、願い続けた。そしたら、呪いが解けたんだ。いきなりすぎて焦って、あんな嘘ついてごめん」
今までずっと私の傍に居てくれたのは、使い魔とかそう言う理由じゃなかったの?
追いついてこない頭がパンクしそうになるけれど、一瞬でそんなのどうでも良くなった。