継母に永遠の眠りの呪いを掛けられましたが、解呪の力を持つ婚約者が訪れることなく二百年の月日が流れて、自力で目覚めた姫は私です。
部屋へと続く扉を開けて隠れられそうな場所を探すけど、生憎なことにベッドと机と生活に必要な最低限のものしか置かれていないこの部屋には、隠れられる場所は無い。
仕方ないと、ベッドの上で布団にくるまって身を隠すしか方法はないと、なるべく小さくなるように布団にくるまった。
思えば、ここでずっと誰か来てくれる事を願って、ずっとずっと待っていたというのに。
気づけば私は恐れられる脅威の存在になっていて、ここに人が来るとなれば命が危うい事に成ろうとは。
しかも相手は世界最強の魔道士……とか言っていたわよね?
そんな相手にアーモス達が太刀打ちできるわけない。私ばっかりが守られて、彼らが傷付いていい理由なんてどこにもないじゃない。
何よりも……彼らを失ったら私、本当に一人ぼっちになっちゃう。
「そんなの絶対に嫌……」
今すぐにでもアーモス達の所に行きたいけれど、何も力を持っていない私が行ったら逆に迷惑になるかもしれないと布団の中で悶々と考えていると、扉が乱暴に開かれた。
体が小さなアーモスは普段窓から出入りしていて、扉から入ることはまずない。
他の魔物たちも、守護者の私の部屋には一切近づいては来ないのだ。
……となると、この扉を開けたのは――。