竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「ニコラス……知らせてくれてありがとう。手当も。助かった」


 リアンに事態を知らせてくれたのは、ニコラスとアクセスの二人だった。
 二人はリアンの家に向かう道すがら、上空から突き落とされ、大怪我をしたロイを見つけたらしい。
 もしも二人が居なかったらロイは助からなかったかもしれないし、リアンが事態を把握するのもかなり先のことだっただろう。そう考えると恐ろしくて堪らない。

 リアンはため息を一つ、前を向く。止まっている時間などない。翼を開き、上空へと飛び立とうとした。


「待てって! 今、アクセスが従獣を使って情報を集めてるんだ」

「ありがたい。だが、正直待っていられない」


 アクセスの従獣ならば、アイリスたちが襲われた時の様子や、連れ攫われた場所を見ているかもしれない。
 けれど、手がかりが集まるまで動けないというならば、そんなものリアンには不要だ。怖くて辛い思いをしているだろうアイリスを、今すぐ迎えに行きたかった。


「闇雲に飛び回っても意味無いだろう? アイリスちゃんを襲う奴に心当たりなんてあるの?」

「……」


 そんなもの、ある筈がない。ただ殺戮を楽しみたいだけなら、アイリスはあの場で殺されていた筈だ。ロイに止めを刺さず残していく意味もない。正直リアンには、どうしてアイリスが攫われてしまったのか、全く理解出来なかった。


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